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2012年3月18日 (日)

cowon J3 を使う …… 音質チェック編(3)

前回までの確認事項としては、

・Perfumeで比べる限り、iPod との音質の違いは全くわからない。
・wav でも mp3 でも、ほぼ違いはわからない。

ということだった。

ただし、ここまでは、cowon ユーザー自慢のイコライザ機能 JetEffect を使用しない状態での話。
今回は、その JetEffect をいぢってみます。

JetEffect というのは、cowon の音楽プレーヤー最大の売りであるイコライザ機能で、その詳しい内容は以下、マニュアルの(あまりに簡単な)解説より引用してみましょう。

EQ Filter : 各バンドの周波数や幅を多様にコントロールできる高級設定機能
(要するに5バンドのイコライザ。いぢくりたい周波数帯域は自由に割り当てられるので、確かに「多様」だけれども、実際には正直使いづらい)

BBE : サウンドをより鮮明に表現する高音質音場効果
(要するにデータの圧縮によって減衰する高域をブーストしたり、デコードの際に生じる音域ごとの時間差を修正したりする技術らしい。http://buffalo-kokuyo.jp/special/bbe/ )

Mach3Bass : 超低域を強調するブースター
(そのまんまです)

3D Surround : 空間感を生かす立体音響
(正体不明だが効果大。詳しくは後述)

MP Enhance : 損失した音の部分を補う機能
(もちろん「圧縮により」損失した……の意味だろう。この全くやる気のないマニュアルには苦笑するしかない。BBEとの違いはよくわかりません)

Stereo Enhance : ステレオサウンドをより豊かにする音場効果を実現
(要するに、いわゆるステレオ・エンハンサーでしょう)

Reverb : 臨場感をプラスする残響効果
(リバーブです。使うわけなし)

以上、これらの組み合わせで39のプリセットがデフォルトで設定されていて、うち4つは自分でそれぞれをいぢくって作るユーザープリセット。

前にも書いたとおり、イコライジングというのは所詮イコライジングであって、音質そのものが変わるわけではない。
気休めに過ぎないだろう。
と考えていた。
いぢくってみるまでは。

ところが、実際にいぢってみると……

おおお、これは楽しいかも!

ってなってしまった。

なるほど、cowon ユーザーが JetEffect にハマるのもわかる気がする。
ネット上には、ユーザーが考えた JetEffect の設定例がたくさん公開されている。

確かに、ピュアオーディオの世界でこういうことすんのは邪道に違いない。
しかし、DAP なら、これは大いにアリなのだということがよくわかった。
それは、高級フレンチとファストフードでは食い方が違うのと同じだ。
マヨネーズでも塩コショウでも何でも好きにぶっかければいいんである。
そして、高級フレンチを頻繁に食ってる人だって、ファストフードはファストフードでやっぱり好きだったりもするのだ。

BBE と MP Enhance は、どういう仕組みかはわからんが、とにかくマヨネーズと同じ。かけたもん勝ち。
お手軽すぎて気持ち悪いが、分離がよくなり、音像の輪郭がくっきりする。

EQ Filter は上述のとおり使いづらいし、アルバムごと、下手すりゃ曲ごとにいぢくりたいポイントは変わるわけで、実際問題使いようがない。

超低域ブースターである Mach3Bass も、個人的には用なし。クラブ気分に浸りたい、とか、そういう特殊な用途にしか必要ないと思われる。

Reverb は言わずもがな。こんなもん使ってどうする。

さて、問題は、Stereo Enhance と 3D Surround。
この2つがとにかく面白い。

Stereo Enhance はいわゆるステレオ・エンハンサーであると思われ、ステレオ信号をLとRではなく、M(Mid = L+R)と S(Side = L, R)の2つの信号で扱い、そのS成分をコントロールすることで左右の広がりを制御し、音像を最配置する。……とにわかに勉強した。なるほど。
3D Surround は正体不明なんだけれども、聴いた感じ、この Stereo Enhance をさらに下品にした感じで、えげつないほど音像が変わる。
こっちがあれば、Stereo Enhance は必要ないかも。

わかりやすく言うと、音場が左右真横方向にぎゅいーんと引っ張られたように広がる。
ノーマルでは両こめかみの間くらいに広がっていたステレオ感が、完全に両耳の真横あたりまで、扇子をめいっぱい広げたように広がる。

結果どうなるかというと、例えば Perfume の3人で言うなら、脳天のてっぺんにかしゆか、そのちょっと右、脳天とこめかみの間くらいにあーちゃんのコーラス、逆サイ対称の位置にのっち(っちゅうか、Perfume って全部かしゆかに聴こえることが多い気がするけど……)、っていう感じの配置だったのが、完全にセンターかしゆか、ライトあーちゃん、レフトのっち、と3人の間がくっきり空いてしまったりするんである。
ハモリはハモリらしく響かせるために、ある程度配置を重ねてパンニングしてるはずなんだけれども、それを、3人バラバラに引き離してしまうのだ。

これはイコライジングと言うより、ほとんどリミックスに近い。
邪道だ。
あまりに邪道だ。
しかし、結果、楽しい。

ソースを選ぶのではないか、Perfume だから面白いだけじゃないか、とも思ったんだけれども、意外とそうでもない。
憂歌団でも楽しい。
センターのボーカルがちょっと引っ込んだ感じにはなるけれども、勘太郎のギターと木村のギターが左右に引っ張られて浮き出る形になり、結果的に音場の立体感が大幅にアップしたような錯覚にとらわれる。
3D Surround と謳う所以であろう。

もちろん、ダメになってしまうソースもある。
だから、常時同じセッティングでよいわけではない。

まだそれほどいぢってないのだけれども、とりあえずユーザープリセットでは1つだけ、この3D Surround を思いっ切りぶっかけたセッティングを作った。

正直、あとはプリセットを適当に選ぶだけで十分であるように思われる。
そして、それだけでも、iPod や walkman ではなく、この cowon を選ぶ理由には十分なり得るという気がする。
JetEffect は、邪道で下品だが、確かに魅力的な機能だ。
その後、いろいろネットでの評判をチェックしてたら、「素の音なら walkman」という意見がわりと多い様子。

しかし、前にも書いたように、この価格帯のデジタル・オーディオで、素の音の違いなど、ほとんど無視出来る程度でしかないのではないかと想像される。
もちろん、近頃はピュアオーディオの世界でも、iPod や walkman をソースにして何十万クラスのスピーカーを鳴らすというのもあるみたいだから、そういうレベルで扱うのであれば話は別だけれども、大半のユーザーにとって DAP はファストフード、B級グルメでよいはず。
それならば、よく効く調味料が揃っている方が有利だ。

結論。
JetEffect はとても楽しい。

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