Philip Glass『Glassworks』を聴く
フィリップ・グラスは、80年代の初め頃はどういうわけかロック雑誌にもよくレビューが出ていたので、名前だけはずっと知っていた。
当時のテクノ~ニューウェイブの中には、アヴァンギャルドやらインダストリアルやらアンビエントやらへの目配りがあったし、イーノやマイク・オールドフィールドみたいな例も既にあったわけだから、そういうのの一環としてロック畑にもリスナーがいたのだろうと思う。
自分の場合も、どうやって覚えたのかわからないけれど、ミニマリズムという言葉とそのだいたいの意味は当時から一応は理解していて、興味はあったんだけれども、まだまだ他にいくらでも聴きたいものがあるロック少年としては、さすがに自分で買おうという気にはならなかったし、周りに買っている友達もいなかったので、結局聴かずじまいだった。
後にずいぶんおっさんになってから、ライヒなんかでミニマル・ミュージックはよく聴くようになったのだけれども、フィリップ・グラスのことはとうに忘れていたところ、この度ふと思いだして買ってみた。
ジャケットにも見覚えがある。
中学生の頃だから、毎日雑誌を執拗に眺めていたんだろうと思う。
さて、聴いてみると……。
なるほど、予想していたのよりもずいぶんとわかりやすい。
道理でロック畑の人間にも全然イケたわけだ。
と言うか、いくぶんわかりやすすぎる気がする。
和声もわかりやすいし、ちょっとリリカルに過ぎる気味がある。
それと、生楽器によるミニマル・ミュージックというのはやはり素敵なのだけれども、管楽器を使った曲はちょっと個人的にはいただけない。うるさい。
そういうわけで、決して嫌いでもないのだけれど、これならやっぱライヒの方を聴くかなあ、と。
ただし、自分が買った“EXPANDED EDITION”には「In the Upper Room」という、本編と同じくらいのボリュームのボーナストラックが収録されていて、こちらがむしろ良い塩梅。
気に入ったトラックだけを選んで聴けば気持ちいい。
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