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2009年2月 3日 (火)

たくきよしみつ『デジカメに1000万画素はいらない』を読む

図書館でふと手にとって、最初は正直それほど期待せずに読み始めたのだけれども、2、3ページ読んだだけで「うーむなるほど」の連続。
(自分にしては)あっと言う間ににおしまいまで読んで、結果的には実に参考になった。
マニア向けではなく、あくまでも一般の初心者向けに書かれているけれども、ポスターサイズにプリントして写真展に出品する、とでもいうのでなければ、実際にはこの本に書かれているレベルの内容が最も役に立つと思う。

そう、以前から疑問には思っていたのだ。
うちの母親はカメラを趣味にしていて、デジタルも、ソニーのαなんとかっていう一眼レフを持っている。
もちろん1000万画素。
子供の運動会だの発表会だのの撮影はもっぱら任せているので、うちの子供たちのデジタルの写真は、母親が撮ったものが多い。
画素数がでかいから、ファイルも重くて、1枚が3MBを超える。
たくさん撮ってくれるのはありがたいが、うちの貧弱なPC環境では、だんだんつらいものがある。
そして何より気になるのは、ファイルがでかい割にはさほど美しくないということなのだ。
いや、もっと言うと、うちのデジカメで撮った写真の方がむしろきれいな気がする。

この本によると、その理屈は、おおよそ以下のようなことらしい。

デジカメでは、銀塩フィルムの代わりにCCDという撮像素子で画像を細かい光の点(画素)として記録する。
従って、画素数は、確かに多ければ多いほど解像度が上がるが、CCDの面積にはそもそも限りがある。
小さいCCDにたくさんの画素を詰め込めば、結果的に1画素あたりの面積が小さくなり、受け取れる光量が減少する。
だから、よほど細部をクローズアップすれば、1000万画素が500万画素よりも解像度が高いのはもちろんだけれども、写真を全体として見た場合、むしろ500万画素以下のモデルの方が、色の階調が豊かに見える。
そもそも1000万画素デジカメの画像は、200dpi でプリントしてもA3サイズを超えるという途方もない大きさであって、日常の実用には適さない……

うーむ、なるほど!

これは正に自分が普段から感じていた印象そのままだったので、実に目からウロコであった。
そう、母親のデジ一で撮る写真は、色調が地味なのだ。

対する自分の常用機は、ニコンのcoolpix5000。
2001年発売の、当時の coolpix シリーズのフラッグシップ機だと思うのだけれども、定価は15万。それを何年か経ってから中古で2~3万で入手した。
2/3型という、最近のモデルと比較すれば「巨大」なCCDを搭載し、画素数は500万。
正に本書の著者が理想的と考えるようなモデルではないかと思う。
やたらと操作が複雑で、ボタンも小さくていぢりにくいのが大きな大きな欠点だとは思うが、明らかに母親のαよりも色調の美しい写真が撮れる。

ちなみにこいつの前に使っていたのは、オリンパスのCAMEDIA C2040ZOOM というモデルで、こっちの方は、この著者も「名機」として紹介している。
F1.8という、後にも先にもない明るいレンズを搭載したカメラで、そのレンズの明るさに惹かれて買ったのだった。
そう、そもそもどうもこの人とは馬が合いそうなのだ。

前からなんとなく感じていたことが、本書によって論理的に裏付けられて、自分のcoolpix5000がよりいっそう愛おしくなった。
このようなタイプのデジカメは、もはや絶滅危惧種らしいのだ。

もちろん、一眼レフではないので、人物などを撮るときにボケ味が出せないのは確かに痛い。
その点では母親のαと比べるべくもない。
そういう写真を撮りたいときは、致し方ない、いつでも銀塩に戻って、長年の愛機、ニコンF3に頑張ってもらえばよい。

ともあれ、本書を読んで、俄然、デジタル撮影にやる気が出た。
これまでは、所詮デジタル、俺は最後までフィルムカメラと心中するぞというくらいの気分でいたのだけれども、デジタルの利便性の高さにはやはり抗しがたい魅力があるのも事実。
撮影上のヒントも本書からたくさん得た。
デジタル一眼レフの古くなったモデルを中古で買おうかと考えたこともあるけど、(例えばニコンのD1とか、定価60万とかだったのが今や2万とか……)、やっぱデジタルはこの coolpix5000 にいましばらく働いてもらおう。

あと、巻末に紹介されていた画像処理のフリーソフト「Irfan View」も素晴らしい。
著者が書いているとおり、フォトショップは重たくて頻繁に起動する気にはとてもなれない。
その点、Irfan View の機動力の高さは画期的だ。
こういうソフトがあると、なおさらデジタルの魅力は倍増する。

うーん、しかし、ますますF3の出番が減るなあ……。

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コメント

そうか、そんなにいい本なんだ。
……と、ぼくが言ってはいけません。
高く評してくださり、ありがとうございます。

iPodをより豊かに聴く、という本も必要なんでしょうなあ。

投稿: chinsan | 2009年2月 4日 (水) 02時21分

ええ、chinsan がおっしゃってはいけませんね。もう図書館に返しちゃったので、1冊送っていただけませんでしょうか(笑)。常に手元に置いておきたいくらい、個人的にはぴったりくるものがありましたです。
カメラの本って、モノとしてのカメラを溺愛するマニア向けや、内容の薄ーい初心者向けは多くても、その中間の丁度いい按配のものが少ないんですよね。

投稿: riki | 2009年2月 7日 (土) 00時08分

先日、ネットでデジカメの画像数を検索して、たくきさんの本を知りました。そしてたくきよしみつを検索してふもと日記にヒットしました。ふもと日記に書かれているとおりの感想を持ったので、ついコメントを送る気になりました。ブログにコメントを書き込むのは生まれて初めての経験です。
たくき氏の本は図書館で借りてきて、今手元に5冊、予約中が1冊。riki氏がコメントされておられるが如く手元においておきたいくらいくらいです。どの本も。

投稿: ヨソイヨ | 2010年5月26日 (水) 13時40分

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