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2008年6月22日 (日)

橋下知事

大阪府の橋下知事について、「人件費削減巡り組合と交渉11時間、決裂」というニュースをネットで読む。
府職員の給与引き下げについて、知事はどうもまだまだ諦める気はなさそうな雰囲気だ。

橋下徹という人は、知事になる前からテレビで見る度にイケ好かないヤツだと思っていたけれども、知事になってからはますますイケ好かない。
内田樹がしばらく前のブログで、「金の話しかしない」人だとばっさり切り捨てていたが、なるほど知事としてのダメさ加減はその一言に尽きるのかもしれない。

公務員っていうのは、ものすごく頑張って仕事しても大して褒めてもらえなかったりするし、ましてやそれが昇給や昇進や報奨金などに直接つながったりすることはほとんどないかわりに、逆にひとたび失敗すればえらいこと叩かれてしまったりする職業である。
そういう環境に置かれると、人は、実質よりも体裁を整えることに心血を注ぎ、周到なエクスキューズを準備することに長けるようになる。
熟練した公務員の、表向きの建て前を一分の隙もないように整える技術、や、自分に余計な仕事が降りかかるのを避ける技術、といったようなものは実に大したもので、まったくもって知性の無駄遣いと言うほかない。
もちろん、公僕としての崇高な使命感を持つ誇り高き公務員だっているにはいるに違いない。
しかし、そうした立派な公務員のモチベーションを、「公に対する使命感」とか、「府民のみなさまの血税を預かる責任感」とかいったものだけで支えさせようというのは、もはや到底無理な話ではないかと思う。

真の府政改革というのは結局、そういったお役所体質からいかに脱却するかという、その一点に尽きるのではないか。
府職員の職務に対する志気をいかに高めるか。
それこそが、最も重要で最も難しい問題ではないのか。

橋下知事のように民間からぽんと知事になると、自身の意識としては、府政を立て直すために府民の代表として「腐った府庁」に乗り込んで改革するのが使命だと思っているのではないかと思う。
だから、府民の皆様の貴重な税金を無駄遣いはさせない、いらないものは全部ばっさり切る、と、まずはそういう発想になっていく。
もちろんそのような期待を受けて選出されているのだから、そういう意識も大切ではある。
しかし、当たり前だけれども、知事というのは、同時に行政府の長であり、府職員を統率して府庁全体のパフォーマンスを向上させるのがその第一義の職責であって、悪い府職員をこらしめるだけが仕事ではない。
橋下知事という人は、その辺に根本的な勘違いがあるのではないかと思う。

自分なりに誠実に府民の暮らしを考えて長年こつこつと努力を続けてきた、という生真面目な職員だって、大阪府庁にはたくさんいるはずだ。
いや、もともと生真面目なタイプの多い職種であるからして、そのような人は、外部の人間が想像しているよりも意外と多いかもしれない。
そのような人も、そうでない人も、一律に給与をカットされる、とする。
そうか、まだまだ俺は努力が足りなかったんだな、これを機にもう一度これまでの自分をじっくり反省して、心機一転、明日からまた府民の皆様のために頑張ろう! とか思う職員は果たして何人いるのか。

平成大不況と言われ始め、リストラが横行していた頃、吉本隆明は、「もし傾いてきた企業の経営者だったら、自分の会社を建て直すために何をするか」と聞かれて、「まず社員の給料を上げます」と答えていた。
当たり前だけれども、組織は1人1人の人で動く。
組織のパフォーマンスをアップさせようと思ったら、1人1人の志気を高めることが基本だろう。
人件費の削減で一時的に収支のバランスを整えても、それは結局、5年後、10年後に更に悪い結果をもたらすのではないかと思う。
事実、今年度の府職員の採用試験は、志願者が激減したとかいうニュースも見た。

「その頃にはもう自分の任期は終わってるから」という確信犯であるとしたら、それこそまさに見事なお役所仕事であると言うほかないけれども。

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コメント

ウチの会社は、よほどのことがない限りクビにならないので、上記文中の「公務員」「府職員」のところを「●●社の社員」と代入して読みました。

働いてもさぼっても給料が変わらない場合、組織の一員のモチベーションをあげるのは、ほんとうにむずかしい。そう実感する日々です。どうすりゃいいのさ。とほほ。

投稿: chinsan | 2008年6月23日 (月) 22時46分

ぼくも「働いてもさぼっても給料が変わらない」職種ですが、そうなるとモチベーションって、結局は、やり甲斐とか、労働環境の善し悪しとか、そういう基本に戻るしかないですよね。ぼくの場合は相手がナマモノですから、有無を言わせずモチベーションを引き出されるようなところもありますが。
「●●社」の仕事なんて、外から見てると面白そうですけどねえ……。管理職は辛いっすね。

投稿: riki | 2008年6月26日 (木) 22時36分

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