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2008年4月25日 (金)

自転車通勤

新しい職場は交通の不便な場所にあるので、ほぼ全ての職員が車で通勤している。
うちにだって車はあるけれども、昼間、愚妻がどうしても使わなければならない日が少なくないので、常に自分が乗って行くわけにはいかない。
かといって、ただでさえ家計が逼迫している中、もう1台買う余裕などとてもない。
車自体は何とかなっても、マンション住まい故に駐車スペースがなく、しかもうちの近所は駐車場代が市内でも最も高い地域になっている。
そういうわけで、ここはひとつ、昨今流行りの自転車通勤で行くしかないと腹を決めた。

自宅から職場まで、距離にしておそらく4~5km。
自転車でも十分通勤可能、て言うか、本格的な「自転車通勤」にしては物足りないくらいの距離だろう。
が、しかし、今度の職場は、丘(と言うか、山)のてっぺんにあるのであって、その4~5kmの間の高低差は並大抵ではない。
10代の頃は、同じ道程を、変速ギアもないママチャリで平気でのぼっていたのだけれども、40超えてからはさすがに辛いかもしれない。
試しに走ってみたところ、まず最初の2~3kmは、そのほとんどが田んぼの中の吹きっさらしの農道であり、朝はおそらく1年を通じて山から吹き下ろしてくる向かい風にまともにさらされる。
この時点で相当に体力を消耗することが判明した。
もとよりこのあたりは強い風が吹く土地柄だ。冬の厳しさは想像するに余りある。
さらに最後の1km余りは延々と上り坂が続き、山のてっぺんまでのぼる。
20分弱で着くには着いたが、息は切れ切れ、汗まみれで、脚もガクガクする。死ぬかと思った。

これはいけない。
すぐにくじけそうな気がする。
しかし、この行程を毎日こなせば、3年間のデスクワークで衰えきった体力の回復にもつながるかもしれない。
あわよくばダイエットにもなるかもしれない。
何より、どのみち2台目の車の購入は考えられない。
やるしかない。

とすれば、毎日自転車で出勤するモチベーションを維持するための装置が必要だ。
自転車に乗るのが嬉しくなるような状況を作り出す必要がある。

そういうわけで、以前からほしいと思っていた新しい自転車を買うことに決めた。
この際、自転車を趣味にして、毎日の通勤を「趣味の遂行」と捉えるのがよい。

ほんとはマウンテンバイクが欲しい気がするのだけれども、大したことない距離の街乗り専門だし、買ってもあまり意味がない。
ロードバイクに乗るにも、通勤経路の路面状況は悪すぎる。
いや、そもそも、ちゃんとしたマウンテンバイクやロードバイクを買うほどの余裕もないし、そんな贅沢をする必要性もない。
やはりここはおとなしくクロスバイクというジャンルでおさめておくのが大人の対応であろう。

悩んだ挙げ句、GIANTのESCAPE R3というモデルに決めた。色は白。
自転車屋からのにわか仕込みの知識によると、GIANTというのは台湾のメーカーで、規模としては世界最大。
OEMで実績を重ねてきたメーカーらしく、技術力には全く問題ないし、コストパフォーマンスの高さは業界随一とのこと。
ただし、基本はOEMメーカーとしてのB級イメージがやはり強く、独自の企画力は弱い。
基本的に後追いであって、シーンの流れを生み出すようなメーカーではない、と。
オーディオの世界にたとえるなら、ブランドイメージとしては、AIWAが巨大になったような感じか。
だから、ほんとはTREKとかGARY FISHERとかのオリジネーター的メーカーの製品が欲しかったのだけれども、スペック等を検討すると、やはりGIANTのコストパフォーマンスの高さは群を抜いている。
そもそも自分の場合は、登り坂への対応を重点的に考えるべきであるので、クロスバイクの中でもなるべく車体の軽い、ロード寄りのモデルにしたい。
その点でもGIANT ESCAPE R3は最も適している。
この価格帯で10.9kgという車体重量は他には見あたらない。
TREKやGARY FISHERで同様のスペックを求めると何万も高くなるし、しょせんクロスバイクである。かっこつける必要もあるまい。
見かけよりも実を取るべきだと判断した。

GIANTは、最近郊外にぼこぼこ出現してきたスポーツ量販店なんかでも扱っているし、そういうところの方がやはり少し安い。
が、前の職場の近くに気に入った自転車があるので、そっちへ行ってみることにした。
今まで乗っていた古い自転車の修理を何度か持ち込んだことがあるのだけれども、その仕上がりが実によかったし、いろいろ丁寧に教えてくれる。
また、いつ行っても自転車マニアの客がたむろしていて、店主とああでもないこうでもないと話し込んでいる。
異常に自転車が好きそうな人々だ。
聞いてみると量販店よりも少し売値は高いけども、店の場所も仕事帰りに立ち寄りやすいところにあるし、後々のメンテや指導を受けるにも都合が良さそうだ。
注文して取り寄せてもらい、3日ほどで届いた。

入荷してから引き渡しまで少し時間がかかると言うので、何かと思ったら、いったん全てのパーツをバラして、店主が自らの手で再度組み直すとのことだった。
工場のラインでのアセンブルは精度が低いので、適正トルクでやり直してくれるらしい。
普段は競技用の自転車のメンテなどを主にやっているようなので、そのようなシステムにしているのだろうと思う。
そこまでしてもらうほど厳密な乗り方ができるのかどうかわからないし、そもそも5万円を切るクロスバイクでそんなことまでして採算合うのかどうか知らないけど、やっぱり気分はよい。
ここで買ってよかった。

さて、早速乗ってみる。
こういう自転車に乗るのは初めてなので、そもそもこちらの基準も低いのだろうけれども、いやはや圧倒的に走りやすい。感動。これは楽しい。
登り坂も楽々に……とは決していかないけれども、格段に楽になったのは確か。
平地でも、視界のよい農道はぐんぐんスピードが出せる。速い。気持ちいい。(とは言え、ほんとのロードバイクの人には一瞬で追い抜かされていく)
毎日自転車にまたがるのが楽しい。

かくして、自転車が新しい趣味となった。
これからは、パーツいぢりという奥深い世界が待っている。
さしあたっては、ハンドルバーやシートポストがシルバーなのがあまり気に入らないので、黒に換えてみたい。
調べてみると、パーツをいぢる余地は無限にありそうだ。

自転車は、もちろん奥は限りなく深いのだろうけれども、そもそもの構造がそんなに複雑なものではないので、トータルで自分で管理できるのがいい。
自動車のように、自分ではどうにもできないというような箇所がない。
覚えれば、ある程度のレベルまでは全部自分で出来るような気がする。
そこがいい。

カバンもメッセンジャーバッグに買い換えた。
これも思いの外、乗り心地に大きな影響があった。
もうこの季節から朝はTシャツ1枚で出るのだけれども、最後の登り坂のせいで、職場に着くと汗だらけになる。
だから、カバンには着替えを入れておいて、職場に着くとまずは更衣室に直行する。
そのためにもカバンの容量は大きくなくてはいけない。

雨の日も、基本的にはレインコートを着て自転車に乗る。
面倒ではあるけれども、今のところそれほど嫌ではない。
脚も3日目ぐらいからはガクガクしなくなった。
3週間ほど経過したけれども、体重も1kgくらいは落ちたみたい。

雨にも負けず、風にも負けず、夏の暑さにも、冬の寒さにも負けない。そういう自転車乗りに、私はなるのである。

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コメント

いいねえ。クールだよ。
個人的には、最近のブログのなかでももっともわくわくしたものでした。
この次は輪行バッグでいけるところまで行こうぜ。

投稿: torrissey | 2008年4月26日 (土) 01時37分

自転車通勤いいやんか!自転車選びがやけに楽しそうで、私も自転車欲しくなったわ。一台あるけど・・・。パチンコ屋から送られてきた自転車が・・・。またね~~。自転車も見られるかな。

投稿: ふより | 2008年4月26日 (土) 18時44分

→torrissey
メッセンジャーバッグは、教祖に倣ってティンバック2にしました。これで2人合わせてティンバック4だ。自転車部はティンバック2で揃えるってことでどう? ハンドルバーとステムも、とりあえずは前にもらったモノを使わせてもらう予定です。今はスペーサーを取り寄せ中。楽しいな、自転車いぢりは。
→ふより
今週末はよろしく。そのときも乗ってくから見せてあげます。
ふよりさんくらいの距離が、本格的な自転車通勤にはいちばんいいと思うのよ。ジムに通うくらいなら、どう? 

投稿: riki | 2008年4月29日 (火) 22時33分

私はうまく乗れないけど一輪車持ってるよ。とてもじゃないけど坂道は無理。でもこれで通勤や買い物に行けるようになりたいと夜こっそり練習してる。

投稿: ショーエ | 2008年4月30日 (水) 12時45分

自転車見れませんでした!!あいつが寝たせいや・・。

投稿: ふより | 2008年5月 3日 (土) 11時42分

今回のブログを読んで思い出しました。私の職場にもGIANTで来る職員が何人かいて、彼らの中で流行っている漫画が『シャカリキ!』ご存じかもしれませんが、長崎が舞台で坂を登り続ける自転車少年の話らしいです。rikiさん、読んだら是非書評を!

投稿: k-taro | 2008年5月 6日 (火) 09時08分

『シャカリキ!』は未読です。「熱い」っていう評判はよく聞くね。自転車通勤、k-taroもどう?

投稿: riki | 2008年5月10日 (土) 13時14分

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