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2007年9月14日 (金)

三宅乱丈『大漁!まちこ船』を読む

三宅乱丈のマンガを初めて読んだのは、ビッグコミックスピリッツで連載していた『ペット』だった。
この作品がかなり好きで、毎週楽しみにしていたのだけれども、いかんせん設定が複雑すぎたのか、ストーリーがややこしかったのか、世間では次第に人気がなくなったようで、掲載頁もだんだん巻末の方になって、最後は、いよいよこれから面白くなるだろうにっていうところで、無理矢理話をまとめるような感じで突然連載終了してしまった。
恐らく打ち切りになったのではないかと思う。

もう詳しいストーリーとかは忘れてしまったけれども、『ペット』の何がいちばん印象に残っているかと言うと、物語の最初からずーっと典型的な悪役だった「桂木(っていう名前だったと思う、確か)」というキャラクターが、終盤になって、実はかわいそうな、案外いい奴だったということがわかる。
そこでぐっと来た。
こういう設定は、ありそうで意外にないのであって、マンガなんかでは特に、いい奴はいい奴、悪者は悪者と白黒はっきり分けられているのが普通だ。
もちろん、ストーリーが長くなるにつれ、最初悪役として登場したピッコロやベジータが悟空の仲間になっていく、というようなパターンは多い。
そういうのではなくて、「悪者っつっても、どこをどう切っても100%悪いわけではなくて、いい面もあるよな」といったような、リアルな表現が『ペット』にはあった。

当たり前だけれども、世間には、「いい人」と「悪い人」の2種類がいるわけではなくて、どんな人間にも「いい面」と「悪い面」の両方がある。
会社ではひどく嫌な奴も、家ではいい父親だったりするかもしれない。
近所ではいい人で通っていた人がいきなり殺人犯になったりもする。
同じ人間でも、見る角度が違えば見え方も違う。

そうやって、悪役を単純な悪役のままで終わらせないところがいたく気に入って、おお、これは急に面白くなってきたぞ、と思ったら、その後すぐに連載が終わってしまった。
何故か週刊誌って、おれの気に入ってるマンガから順に連載切っていくんだよな……。

そういうわけで、久しぶりに三宅乱丈の他の作品を何か、と思い、適当にネットで注文して取り寄せてみたのが『大漁!まちこ船』。
漁師モノかと思ったら、シュールなお笑いモノでした。
一言で言えば、なんじゃこりゃ。
絵がたいへんいいので、損したとも思わないけど、決して得もしてないな。

とにかくこのマンガ家には、かなり特異な才能があると思うので、また『ペット』のような壮大なアイデアの作品にじっくり取り組んでもらいたいと思います。

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コメント

悪い人が好きです。どうしてかというと、その人の「一陣の光」 つうか、何となく良い事をする一瞬がいいっす。見たくて仕方ない。
必殺仕事人の山崎努(赤い下着でスケベな感じと正義感のギャップ…)が、なんだかガキの頃からたまらなく好きでした。

投稿: k-taro | 2007年9月14日 (金) 02時22分

私も悪い人好き。悪い人が手助けなどをするときは、「ここで助けてやらなかったらまずい」という、見定めがあってのこと、というのが好き。つまりは物事をよく見ている、ということなのかな。

投稿: ショーエ | 2007年9月14日 (金) 12時32分

全然関係ないけど、2番手が好き、っていうのもあるよな。ガッチャマンで言えば、コンドルのジョーが好き。ゲッターロボで言うと、ゲッター2が好き。ローリングストーンズで言うと、キース・リチャーズが好き、みたいな。

投稿: riki | 2007年9月16日 (日) 11時46分

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