息子はこの春で小学校3年生になるけれども、これまで本格的なゲーム機は与えずに乗り切ってきた。
それっぽいものは、たまごっち1個と、去年のクリスマスに買ってやったドラゴンボールの単体のテレビゲームだけだ。
そのドラゴンボールのゲームだけで、十分すぎるほどサル化することがよくわかったので、今後もしばらくは与えないつもりだった。
息子がうちに連れてくるガキどもは、ほぼ例外なくみんながDSやゲームボーイを持ってくる。
それにぴったりへばりついて、卑屈な態度で「やらせて、やらせて」と懇願する息子を見るのは、確かに情けない。
卑屈になるのではなく、脅して奪えと指導するのだけれども、どうもできないらしい。
息子が我々に対して何度も試みるのは、「自分だけゲーム持ってないから、みんなの話についていけない」などと言って、同情を引く作戦だ。
しかし、その手には乗らない。
そんなこと、実は大して気にしてないに決まってるからだ。
しかし。
じいさん(うちの親父)が、この作戦に引っ掛かった。
見事に引っ掛かった。
「それはかわいそうだ。今度の誕生日に Wii を買ってやる」と、すぐに約束してしまったらしい。
かくも孫に対しては盲目になるものか。
DSでないのは、まだよかった。
持ち歩いて、どこに行ってもゲームばかりされてはかなわない。
なぜプレステではなく Wii だったのかはよくわからないけれども、理由はおそらく、じいさんがたまたま Wii のことだけは知っていたということだと思われる。
値段の問題もあるかもしれないけれども、じいさんや息子がプレステと Wii の価格差を認識しているとも思えない。
ともあれ、以来、息子は誕生日を心待ちにし、始終じいさんに確認の電話を入れた。
そして、買うとは決めたものの、Wii はどこへ行っても品切れになっているのが通常で、そう簡単にいつでも買えるものではないということもわかってきた。
うちの親父は、モノを買ったり飯を食ったりするだけのために、行列に並んだりいくつもの店を探し回ったりするようなことが、絶対にできないタイプの人間だ。
買うとは約束したものの、実際に入手するのは難しいのではないかと思われた。
しかし、孫のこととなるとかくも必死になるものなのか、じいさんは、ぼくがこれまで一度も見たことのないような行動力を見せた。
大型電機店等を何軒も回り、結局どこにも売っていないとわかると、最後に行ったトイザらスで、入荷情報を連絡するようにと話をつけてきた。
愚妻が聞いてきた噂では、通常、毎週水曜とか木曜とかに入荷し、土曜の朝に店頭に並べるらしい。
そして、土曜のうちに全部売り切れてしまうそうだ。
じいさんの携帯には、金曜日にトイザらスから電話が入った。
「緊急入荷したのでお越し下さい」とのことだったらしい。
トイザらスのような大規模店が果たしてそんな細やかなサービスをやっているのか、ちょっと信じにくい話だけれども、うちの親父は、どんな店に行っても命令形で値切ったりするような人間なので、店員を脅したのかもしれない。
もともとコワモテで、ぼくが子どもの頃はうちに親父がいると友だちが遊びに来ないこともあったくらいだし、自分が商売人なので、相手の足元を見て退路を断つような追い込み方をするのも上手い。
昔は親父と一緒に買い物すると、たいへんに恥ずかしい思いをした。
ともあれ、そんなわけですんなりと Wii がわが家にやって来た。
ぼくのゲーム体験は、初代プレステの「パラッパラッパー」で止まっている。
Wii をセッティングしてみて、その高機能ぶりに愕然とした。
ネットにもつながるのか。
しかも、子機とか何にもつけなくても無線でつながったぞ。
早速マリオカートとぷよぷよ、ダウンロード。
リモコンの使い勝手のよさは、未来の国にやって来たようだ。
天気予報とニュース、すげえ。グーグルアースみたいに地球をぐりぐり回せる。
メールもできる。
Wii でこんなんだったら、プレステ3とかはどんなことになってるんだろうか。
拡張性もあるようだ。
Wii、すげえ。
これは楽しい。
見た目もいい。
かつての任天堂デザインからすると、ずいぶんアカ抜けた。
おまけに小さいから場所とらない。
なんてかわいい機械だ、Wii。
まだまだソフトが少ないけれども、今後のラインアップを見てみると、なかなか期待できそうだ。
マリオもそのうち出るに違いない。
周辺機器もいろいろ買いたいのだけれども、これまで頑なに禁止してきた手前、息子の前ではそうそうはしゃいでもいられないのがつらいところ。
とりあえずは2人で対戦できるように、コントローラをもう1つほしい。
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